2014年5月21日水曜日

夜の旅

一日にあれだけたくさんの海辺に行ったのは初めてだったし、これから先もしばらくないだろう。潮の香りは未知の香り。何もかもまっすぐ受け止めるんだね、と言われて、そうなの、それが苦しいの、と言いたかったし実際言ったかもしれないが、言う事でもっと苦しくなる事も世の中にはあるので、それは深夜に書いた出せない手紙の中にだけとどめておく。書いたら少しわだかまりが解けて眠る気になった。でも横になってもちっとも眠れなくて、友だちにメールしてみたけど返事は来なかった。

今日の昼間は、まぶたを何度も閉じたりひらいたりしながら、窓枠に手をついて、曇った空からさす光とその下に広がる風景を眺めた。そうでない時間は、その風景の事を思い出したりして過ごした。時計を見て、時間の流れがいつもより遅いような気がして驚いたけれど、ひとりで電車に乗ったら途端に時計は急ぎ始めて、普段と同じ速さになってしまったので悲しかった。

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