2014年7月18日金曜日

頭上の枷

「君は相当に誤解しているよ」と言って、男は弁解した。そんなことで気が楽になってしまうほどに、私は参っていたらしかった。長い間、張りつめすぎていた。

鏡をのぞくと瞳が暗い。目に見えない枷の存在を感じる。身ひとつで荒野に立ってからが魔法使いの勝負とは言うけれど、今はあきらめが先に立ってしまって何も出来ない。そんな私を見て「君は顔つきが変わったね」と言う人もいるし、母は「なんだか顔が細くなったわね」と言う。選び取るための自由が、今は何より欲しい。閉じ込められて遠慮して、このままでは本当に萎びて死んでしまう。

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