2014年8月27日水曜日

悪童たち

リュカとクラウスという双子の子どもがいて、彼らとは、横浜のそばの小さな街でときどき一緒に遊ぶ。今日は久しぶりに二人に会って、路地裏の野良猫を愛でたりした。クラウスが「ねえ、猫がいるよ、きてごらん」と手招きして私を呼びに来たのである。クラウスについていくと、近所の住人に毎日えさをもらっているらしい野良猫が、うつわに入ったキャットフードをちびちび食べているのが見えた。側にはリュカがしゃがんでいた。双子は猫に興味しんしんで、背中を撫でてその骨の硬さに驚いたり、猫がおとなしいのをいいことにしっぽをつまんでみたりしていた。リュカの方が先に飽きてしまったようだが、クラウスはずっと猫の背中を撫でていた。リュカに、クラウスは猫が好きなのかと訊ねると彼はうなずいて、そのままふいっとどこかへ行ってしまった。

しばらくして、リュカはどこからかクラウスの自転車を勝手に持ってきて乗りまわし始めた。自転車かっこいいね、誰の? と訊くと「今盗んできたの」などと嘯くのも可愛い。そんな悪童のリュカが、急に「あっ」と言って左目を押さえたので、びっくりした。どうしたの、と訊くと「虫が目に入った」と言う。リュカの目は大きい。おめめ開けてパチパチしなさい、と私が言うと、彼は不器用にまぶたを瞬かせた。見せてごらん、と言うとこちらに顔を近づけてくる。思わずそのつややかな眼球に見とれてしまったのだけれど、まだ生まれて8年しか経っていないのだと思えばこんなにきれいなものは他にない。

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