2015年1月16日金曜日

意味はないけど寝てるあいだに首を絞めたい

抱きしめて頭をなでてもらって「ごめんね、僕が悪かった。悪かったよ」と言って謝ってもらえさえすれば、もうずっと穏やかな気持ちで一生を送れると思う。

少し昔のことだが、寝ているあいだについのど笛を噛みちぎろうかという気を起こす時期があって、しかし相手もどうやら夜中にわたしの首を絞めてみようと考えることはあったらしい。それを聞いて、本当にその相手を信用に足ると判断できたことは、大きな収穫だったと今でも思う。

もう5年も前にしんでしまった犬を今も思い出す。 ひとりでいる時は、過去の中でしか生きられなくて苦しい。側に人がいてこそ、未来のことを考えられる。しんでしまった犬は本当に一生懸命生きた犬で、気高く、いつも野生のたくましさを忘れない子だった。食い意地が張っていて、人間のいないあいだに饅頭を一箱ぬすみ食いしたことがあって、しかしあまりの量の多さに食べきれず、食い散らかしたのを残していたのでそれがばれたのだった。悪事のあとの彼女の腹のふくらみおよびその硬さを思い出すと、可愛くて懐かしくて涙がまだ出る。

食べすぎた子は愛おしい。欲望のまま行動した結果のまぬけさが、可愛くてせつない。たくさんの好きな食べものを心ゆくまで口に詰め込むのは、何と無防備でしあわせなことだろう。幼いころ一度だけ食べすぎて嘔吐したことがある。母のつくった食事で、それはどっちかと言えば妹の好物だったんだけど、わたしだってその料理はすごく好きだったので、その時はわたしがとにかくたくさん食べたのだ。気持ち悪くなって後悔するほどおなかいっぱい食べることなんてもうない。でも今はその料理はわたしの大切なレパートリーで、つくるたび、幼い日の嘔吐の思い出がよみがえる。

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