2015年5月1日金曜日

女の子のお母さん

うなされる夢をいくつも見て、目覚めてから、これでは生きた心地がしない、と思った。いや、それよりは起きた心地がしない? っていうか、眠った気がしない? 何ていうか、とにかく目をきつくつむって歯をくいしばるような夢ばかり見ていた。実際そうしていたらしかった。

生来かんしゃく持ちで、きれやすいたちなのである。浴室に男が入り込んでおり、ちょっかいをかけてくるので、私の穏やかな入浴がいちじるしく妨げられた。そのことに立腹した私が、たがが外れたように怒鳴りまくって壁もこぶしで殴りまくったら、男は泣いて風呂場から出て行った。よかった。

あるいは足が痛くなって、実家の近くの裏道を這って進むはめになり、七転八倒しながら、両腕を使って移動したりもした。足は不随意に動き、はきものは脱げ、下着もずれて、もうどこに進んでいるのかも(とりあえず実家の方向ではあったけれど)わからずにただただつらかった。目が覚めてからも右足がじんじんと痛んでいて、夜になるまでそれは続いた。
 
同居人が、身よりのない5歳くらいの女の子を連れて帰ってきたので、一緒に住むことになった。静かな女の子で、ひとりで絵を描いたり、積み木で遊んだりしていた。私がひとりで眠っていると、女の子は積み木遊びをやめて私の部屋を覗きに来て「お母さん」と言った。それで私はその子の名前を呼んだのだったかさだかでないが、おふとんを持ち上げて女の子を招き入れ、一緒に眠った。血がつながっていなくても、「お母さん」と呼ばれたら、この子は私が守るしかない、という気持ちがした。そのあと、どうしてだかちょっとバターなんかが必要になり、不安になりながらも女の子におつかいに行ってもらった。しかし、女の子はいくら待っても帰ってこなかった。私は不安にさいなまれ、さっきの「お母さん」という言葉を思い出しながら、ああ私の娘、いったいどこに、と青ざめていた。不意に玄関が開いて、あっ、と思ったのも束の間、そこにいたのは同居人とその友だちで、私が怒って「何であなたなのよ」と泣くので同居人は戸惑っていたようだったけれど、そんなこと私にはどうでもよかった。

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